だれにでもモノとの出会いにはなんらかのきっかけがあるはずです。私がフランスのアンティークに出会ったのは意味もなくパリが好きで、はじめて行ったパリで蚤の市のとりこになったから。古いものが好きになったのはもっと前で、骨董好きの母に子供の頃から倉敷の骨董屋めぐりに付きあわされていたから。そんな風に出会いがあった人、なかった人で人生まで変わってしまうのです。ちなみに私はそれまでの仕事をきっぱりやめてこの仕事についたわけですから出会いって責任重大!私のように軽い人間にはその出会いがちょくちょくやってくる。きっと心の中心が好奇心と物好きで成り立っているからなんだと思います。もうこれくらいにしておかないと整理できなくなってしまうよ、とだれかが囁く。すでに頭の引き出しは満杯、いえ、こぼれ出しています。ここらですでにあるものの整理をしておかないと。と思いながら、北欧のものに心奪われつつある今日この頃。だれか、止めて!
映画との出会いは中学時代。きっかけは仲のよかった男の子の影響。最初に衝撃を受けたのは「俺達には明日がない」と「暗くなるまで待って」。あの当時は映画は二本立てだったから同時に二本がぐっときた。しばらくこの二本が中学生の私の中でエイリアンのように住みついた。あれからずっとエイリアンは姿は変われど住みついている。
そういえば、きのうやっと「家の鍵」を観ることができました。
ずっと観たかった映画です。若い頃恋人(出産後亡くなる)との間にできた障害を持った子供と15年ぶりに会って、お互いに親子としての関係を基いていく話(あまりに簡単ですみません)
おとうさんのジャン二(キム・ロッシ・スチュアート)の自分の子供にどう接すればいいのか戸惑う控えめな態度が胸を打つし、子供のパウロもそれと同じく父親との関係を新しく作っていかなければならない小さな葛藤。そんな二人のやりとりがすべて宝物のように大事に思えた。二人が電車の中で初めて出会うシーンから私はうるうるし通し。決して泣かせる映画でも押し付けがましい教訓もなく、美しい映像と二人の1週間を追っただけの映画。観終わってこの場から去りたくなかった。またあの二人に会いたかったから。

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